葬祭ディレクター技能審査制度は、葬祭業に従事する人々の知識・技能の向上を図り、併せて社会的地位向上を図ることを目的として、1996年3月に厚生労働省(当時、労働省)より技能審査として認定を受けた制度です。試験は、厚生労働省に届け出た規程に基づき、葬祭ディレクター技能審査協会(1995年設立、以下、本協会)が実施しており、葬祭ディレクター(1級、2級)の認定は試験結果に基づき本協会が行っています。
残念ながら新型コロナウイルスの影響を受けて試験を2020年度は中止、2021年度は延期したものの、1996年夏に第1回試験を実施して以来、本協会が認定した1級葬祭ディレクター、2級葬祭ディレクターの累計は約40,000人に及びます。このように本制度は多くの資格取得者を社会に送り出し、それぞれが葬祭業のエキスパートとして活躍されることによって消費者から幅ひろい信頼を得ると同時に、葬祭業という職業全体の指針としても影響力を持つに至りました。また、マスコミ報道等でも数多く取り上げられ、社会的認知度は年々高まっています。それゆえに資格取得者は、消費者からの信頼をいっそう得られるよう、資格取得後もさらに継続して努力するよう求められています。
日本は高齢化率(65歳以上人口が全人口に占める割合)が令和4年10月1日現在、29.0%に達し、世界一の「超高齢社会(本格的な高齢社会)」です。地域社会や家族のありようが変化する中で、葬祭業の果たす社会的重要性が高まっています。利用者の意向、真に求められていることに真剣に耳を傾け、細心に、かつ専門家として、葬祭サービスを提供することが求められています。利用者の期待に応えられるレベルの人材であるかを総合的かつ客観的に評価する本制度の社会的責任はますます大きくなっています。
葬儀をめぐる環境も日々刻々と変化しており、現代の事情に沿った関連法規の改正や整備なども進められてきました。葬祭業に対する社会的監視が強化され、さまざまな産業と同じく、葬祭業に従事する者にとっても健全な倫理観に基づいたコンプライアンスが極めて重要なものと認識されていることは言うまでもありません。
葬祭従事者に求められることも、年々より深く、広くなっています。亡くなった方の尊厳を確保すること、個々のご遺族の亡き人を弔う気持ち、意向を大切にし、深い悲嘆にあることを理解すること、かつ文化・宗教への適切な理解をもって、弔いができるよう専門家として支援することです。よりいっそうホスピタリティに富んだ、上質で倫理性が高いサービスを提供できる人材育成が求められています。
葬祭ディレクター技能審査制度の主旨をご理解いただき、一人でも多くの方が、本試験を受験されるようお勧めします。
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